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Vol.098 多くの皆様のご協力で国が動いた!? ~クラウドファンディングにご協力いただいたすべての皆様へ感謝をこめて~

医療ガバナンス学会 (2019年5月31日 06:00)


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元白血病患者
大谷貴子

2019年5月31日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行  http://medg.jp

2019年5月18日発行Vol.090にて『いつか、パパやママになりたい。若年性がん患者さんの夢を未来へ』というタイトルでクラウドファンディングに挑戦していることを書かせていただきました。

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<5月18日発信より一部抜粋>
6月3日までに1000万のご寄付にならないと、このプロジェクトは達成しません。5月17日現在、達成率80%(800万円)です。そこで、ラストスパートに血液内科の先生方にお願いをすることといたしました。

https://readyfor.jp/projects/marrow

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5月18日。私は、早朝より、山形県天童市に向かっていました。新幹線の中で、「あと20日を切っているのに、もう、達成は無理かも。」とぼんやり車窓を眺めていました。

数日前に夫に言われた言葉を思い出していました。

「なんで、all or nothingにしたんだ?」
(注釈:all or nothingとは6月3日の午後11時までに1000万円に達成しないとそれまでにご寄付をいただいた方に返金になる仕組み)

返答に窮す。all or nothingにした理由は、「絶対に達成できると思っていたおごり?」「達成しなかったら返金できてご迷惑がかからないから?」とか、そんな答えが頭をよぎりましたが、何も答えない私に夫はこう言いました。

「達成しなかったら、今までご寄付を下さった方々のせっかくの善意の気持ちをどうやって恩返しするの?」「まだまだ努力が足りないんじゃないの?」
ハッとしました。

2019年4月11日発行Vol.065にて「私が大谷さんのクラウドファンデングを応援する理由」を書いてくださった濱木珠恵先生が素敵な応援メッセージを書いてくださっていたのに・・・。
濱木先生が所属しておられ、久住英二先生が理事長をしておられる「医療法人社団鉄医会」より多額のご寄付を早々にいただいていたのに・・・。
私の小学校からの友人も、近所の人も、講演で知り合った人も、患者さんも、骨髄バンクのボランティアの人も、続々と寄付をしてくださっているのに・・・。
善意の心、そのもの。私は、この方たちに、一生、顔向けできないことをしているのではないか。まだまだ努力が足りないのは図星だ。本気度はどうなんだ。

自問自答を繰り返し、そして、そう得意でない長文原稿にトライすることにしました。(Vol.090をお読みいただけると幸いです)書き始めは配信される三日前の5月15日でした。それこそ、必死でした。

そして、Vol.090の配信から数時間後。新幹線が山形県に入ったころでした。いきなり、ご寄付総額が増えていることに気づきます。コメント欄を見てみると、血液内科の先生方のコメントが、小児腫瘍内科の先生の「頑張ってください」というコメントが・・・。泌尿器科の先生、薬剤師の方・・天童駅に着くのは、まもなくなのに私はお礼の返事を書き始めました。車内での時間では全く足りず、天童駅で改札も出ないので、書き続けるほどでした。感動しました。それは、あきらかにVol.090を読んでくださった方々・・・。

天童では骨髄バンクの全国大会が開催されています。大会最後にクラウドファンディングの呼びかけをしてもらいました。
でも、もうその頃には、目を見張るばかりのご寄付の伸びです。

18時半からの懇親会のときには、895万円までに伸びていました。あと5万円でキリの良い900万円。懇親会には100人以上の人がいたので、なりふり構わず「お一人さま500円を募金してください!」と呼びかけたのです。
お蔭様で6万円以上集まり、5万円はクラウドファンディングへ、残りは、地元山形の骨髄バンクのボランティア団体に寄付をしました。

半日で100万円!?

驚きは、これで終わりませんでした。翌日の日曜日もどんどん伸びて行きます。ついに、月曜日に日付が変わろうとしているそのとき、10001000円になりました!しかも、9985000円になった時点で、私の知る限り、二人の友人が1000万円にしようとその瞬間をねらってくれていて、先に16000円を(15000円は入金できない仕組み)入れてくれた友人からいち早く「達成おめでとう!」とラインを送ってくれたのです。

こんなにもたくさんの友人、知人が応援してくれている・・・。本当に感動しました。

もちろん、Vol.090の配信を見た人だけが手を差し伸べてくださったとは思っていませんが、二日間で200万円の伸び、そして、1000万円の達成は、ほかならぬこの配信が大きな原動力になったことは間違いないと思います。

本当に、本当にありがとうございました。まもなく終了日の6月3日を迎えますが、増えれば増えるだけ、多くの患者さんにご支援ができます。税制控除もありますので、どうか、少しでもご援助いただけましたら幸いです。

ここで、ほんの一部ですが、Vol.090をご覧になって、ご寄付をいただいた方々からであろうコメントを転記します。(転記に際して、ご本人のご許可をいただいていませんことをお許しください)

5月18日(土)
「血液内科医です。元の骨髄移植医です。大谷さんのご依頼では断れません。頑張ってください。」
「私は薬剤師をしております。普段の仕事で少しでもお役に立てるように、これから勉強していきたいと思っております。素晴らしい取り組みが、継続できますように!」
「移植病棟に勤務している看護師です。患者さんにとって、妊孕性はとても大事なことと思っています。そして、これからも、妊孕性について患者さんと一緒に考えられる看護師でありたいとと思います。プロジェクトの成功を祈念しております。」
「泌尿器科医です。精巣腫瘍の患者さんが若い方が多いので、普通に保存しましょうと言えるようにしたいです」
「元血液内科医・移植医ですが、頑張ってください。」
「元看護師です。現在、少し看護の現場から離れていますが、働いていた時は若い患者さん方にも接する機会がありました。治療のために様々な将来の不安を抱えている方の力になる、素晴らしい活動をなさっていらっしゃると感じました!応援しています!」
「本日のMRIC記事で本件を知りました。自分も血液がんの一種を患った元患者であることもあり、本件は他人事ではないと感じました。闘病中の皆さん、そして、支援している大谷さんはじめスタッフの皆さんも希望をもって踏ん張ってください。是非このプロジェクトが成就し、大勢の方の熱い思いが患者の「希望」につながることを祈念しています。」

5月19日(日)
「血液内科医です。生殖可能な年齢の患者さんには必ず精子保存、卵子保存のお話しをしています。息長く活動を継続してください。」
「いつも、パワフルなご活躍に大変感動しております!AYA世代の闘病に、妊孕性保存のお力に少しでもなれればと思います。これからも、お元気でご活躍ください。」
「MRIC Vol.090から情報を頂いた血液内科医です。頑張ってください。」
「若年がんの治療に携わる立場より、心より応援申し上げます。素晴らしいプロジェクトの立ち上げと思います。これからも何かお手伝いできることがあればと思います」
「元血液内科医です。大谷さんのご活動は約30年前から存じております。少しでもお役に立てましたら幸いです。」
「小児血液内科医です。いつも基金には大変お世話になっております。この分野は国がもっと本腰を入れてくれることを願っておりますが・・・。一人でも多くのがん経験者が金銭的な理由のために子供を諦めるということが起きないよう、御活動応援しております!」
「血液内科医をしております。プロジェクトの継続を祈念しております」
「小児科医です。一人でも多くの方に希望を!」

5月20日(月)
「日々、白血病診療に携わっているものです。妊孕性の担保はお金だけではないハードルがいくつもあるのですが、せめてチャレンジできる機会のある方が経済的な理由で諦めなくてよいように、助けになれば、と願っています」

本当に、本当にありがとうございました。

と、ここで、この原稿を書き終えよとしようとしたところ、フェイスックを見た国会議員さんから連絡が来ました。
すぐに「国としての助成を必要としている」と訴えました。
まだ、身分や名前は明かせませんが、元大臣。そして、「この問題は少子化問題にもかかわると私は思っています」と提言しました。実際、2000年からの取り組みで何人もの子供さんが生まれています。
回答は「少し時間をください。やってみますね。」でした。
早速、百聞は一見に如かず、と、多くの赤ちゃんの写真をお送りしました。もちろん、赤ちゃんのパパ、ママは、抗がん剤投与前に精子保存・卵子保存をされ、妊孕性温存をされた方々です。国会議員さんの心に響くと信じています!

ご寄付をくださった小児血液内科医の方が書いてくださっています。
「この分野は国がもっと本腰を入れてくれることを願っておりますが・・・。」

まさしく、国が本腰を入れてくれれば、患者さんは恒久的に安心ができます。がん対策基本法でAYA世代の患者さんへの援助が盛り込まれたのですから、ここまで踏み込んでほしいと願います。

このクラウドファンディングがきっかけで、「今」の患者さんに手助けをしますが、「これから」発症する多くの患者さんに国が手を差し伸べてくれるきっかけになれば、このプロジェクトに参加してくださった皆様が国を動かし、そして、多くの患者さんを助けてくださったことになります。これこそが、このクラウドファンディングの大きな成果だと思っています。それまで、私も頑張ります。

Vol.090での最後の締めを、ここでも再び引用させていただきます。
白血病になったとき、私を支えた単語は「希望」でした。すべての患者さんのそれぞれの希望がかなえられますように、と願い、ラストスパートに血液内科の先生方のご支援に期待を致します。

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