医療ガバナンス学会 (2010年3月28日 08:00)
―昨今の医学部新設の是非をめぐる議論を受けて―
「地域の医師を増やす市民の会 千葉事務局」 事務局長
医療構想・千葉 発起人
田口 空一郎
2010年3月28日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行 http://medg.jp
※詳細は医療構想・千葉 発起人で了徳寺大学 学長の増山茂氏によるMRIC vol.107「千葉・埼玉・茨城に医師を増やす必要性(1)三県の医師不足の現状と将来予測について」をご参照下さい。
ところが、この地域の行政であれ大学や医療関係団体であれ、この圧倒的医師不足を抱える三県でどうやって医師を確保し、また、どのような医師を育てていくかについての将来構想と具体的提案を提起する主体はほとんど現れていないように思えます。
医療を受ける側の私たち患者・市民としては、既存の大学医学部の医師養成数のさらなる増員であれ、医学部の新設であれ、その他の新たな仕組みの創設であれ、その方法論を問うているのではありません。将来にわたって医師が不足すると予想される地域にも、患者・市民の健康をしっかりと見守り、支えてくれる医師の確保こそ最大の願いなのです。
しかし昨今の新設医学部を申請しようとされている大学の関係者の方々と反対派の方々との間で交わされている議論は、既得権の奪い合いの様相を呈しており、こうした患者・市民の切なる願いは置き去りにされたままのよう見えます。
もし医学部を増やすことに合理性がないのであれば、たとえばどうして、西日本の医学部集中地域から、東日本の医学部過疎地域への医学部の移転や統合再編などの大胆な議論が出てこないのでしょうか。そうした本質的な議論が出てこないところに、心ある患者・市民は憤っているのです。(例えば、九州の人口は1320万人で10の医学部がありますが、計1340万人と九州とほぼ同じ人口を抱える千葉・埼玉の二県には3つの医学部しかありません。しかもその1つは防衛医大〔埼玉県所沢市〕であり、地域医療に貢献する機能はほとんどありませんから、事実上、二県で2つの医学部といえます。)
こうした強い問題意識の中、医療構想・千葉で緊急討論会『地域の声「増やしてよ、お医者さん」―どうしたら医師を増員できるか考える』を開催し、そこに参加した市民有志でこの度、「地域の医師を増やす市民の会 千葉事務局」を立ち上げることにしました。あえて千葉事務局としたのは、単に千葉県内の医師が増員されれば良いといった狭い視野ではなく、広く千葉、埼玉、茨城といった将来的にも医師不足が見込まれる地域での医師の増員、確保を求めるための活動としたかったからです。
※詳細は以下の医療構想・千葉 緊急討論会 『地域の声「増やしてよ、お医者さん」―どうしたら医師を増員できるか考える』開催速報をご覧下さい。
http://iryokoso-chiba.org/shinpo_kinkyu_sh.html
私たち「地域の医師を増やす市民の会 千葉事務局」は、文部科学省や厚生労働省、大学関係者をはじめとして、医師養成について責任のある方々が、既存の法令や慣習を前提にした議論ではなく、広く公共の精神に立って、医師不足地域の患者・市民が将来的にも安心して生活できるための医師養成・確保の具体策を、可及的速やかに実施されますよう強く求めます。
末筆となりましたが、本趣旨にご賛同いただける皆さんからの以下の署名に対するご協力を心よりお願い申し上げます。わが地域でも同じような活動をしたいと思われている方々からのご連絡もお待ちしています。率直なご意見ご感想をぜひお寄せ下さい。
■署名フォーム
http://www.ishifuyaso-chiba.net/signature.html
「地域の医師を増やす市民の会 千葉事務局」 事務局長 田口空一郎
発起人:黒木秀子
鈴木陽介
田井秀明
野口隆亮
URL: http://www.ishifuyaso-chiba.net/
E-mail: ishifuyaso.chiba@gmail.com