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Vol.160 在宅医療を中心とした初期臨床研修がやりたい

医療ガバナンス学会 (2019年9月17日 06:00)


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金沢大学医学部5年生
小川風吹

2019年9月17日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行  http://medg.jp

金沢大学5年生の小川風吹です。

私は、地域の人々の幸せをとことん見つめる医師を目指しています。昔から人が好きで、医学を勉強すれば、人の役に立てることがあるのではないかと思い、医療の世界に入りました。今もその気持ちは変わらず、人との1:1のコミュニケーションを大切にしながら地域に貢献したいと考えています。特に、地域のおばあちゃん、おじいちゃんが大好きで、彼らが、最期まで楽しく、自分らしく生きていく中で、そっと寄り添える医師になりたいです。

大学病院での実習では、病院での医療は患者さんの’疾患’に対してアプローチする場所であるということを強く感じました。入院し、その後無事退院していく患者さんを見ながら、医学と治療の素晴らしさを実感し、また無事回復していく姿を見て、率直に嬉しいと思う一方で、同時に、「患者さんのこれからの生活はどうなるの?」、「見守るべきじゃないの?」と悶々と考えさせられました。実際に、退院してから間もないうちに悪化したり別の病気を発症したりして、再び病院に運ばれてくる患者さんもいらっしゃいます。その現状を見て、私は患者さんの生活する地域に根ざし、患者さんを取り巻く環境をまるごと見守る医療を提供したいと考えるようになり、地域医療の実践者になることを決めました。

地域医療に対して自分はどのように貢献できるのだろうかと思いをめぐらす中で、現在は在宅医療という選択肢に魅力を感じています。患者さんに来てもらうのではなく、医師が患者さんの家に出向く在宅医療は、一番患者さんの生活に密着した医療を提供する事ができるのではないかと考えています。

私は現在、特に終末期医療・緩和医療の実践者を目指しています。終末期の患者さんが、最後まで、自宅で自分らしく生活する為のお手伝いをしたいです。研修期間終了後には、即戦力として地域医療に貢献できる人材になりたいと考えています。その為、初期研修プログラムには、地域医療、特に在宅医療を重点的に勉強できる研修プログラムを求めています。在宅医療は、看取りに特化した医療であり、病気の治療と回復を目指す病院での医療とはアプローチが異なります。
在宅医療の考え方、アプローチを、実践を通して、初期研修のうちから深く勉強したいと考えています。初期研修は、初めて医師として医療行為を行う場あり、この2年間が、その後医師としての基盤となるはずです。医師としての第一歩を、病院以外の場所から踏み出す医師がいてもおかしくないのではないでしょうか。オレンジケアホームクリニック(福井市)の紅谷先浩之生は、以前「現在の医学は、病院の中での実証の積み重ねだ」と仰っていました。卒業後そのままのフラットな視点で在宅医療を始める者が出てくれば、在宅医療の世界で、そして医学の世界でも、新しい実証を作ることができると思います。

8月に参加させて頂いたオレンジホームケアクリニックでのボランティアでは、医療的ケアが必要なキッズとの交流をさせて頂きました。まず、生き生きとした表情を見せるキッズたちの姿を見て衝撃を受けました。病院以外の場所でケアを必要とする人と交流するのは初めての経験で、私自身の’患者’に対する概念が大きく変化しました。病院の実習では、医療者と患者という立場が明確で、患者さんとのコミュニケーションは主に、「今日は何の症状で病院にいらっしゃいましたか?」、「痛みの状況はどうですか?」など、全身状態の把握、治療の評価を目的とする会話に限られていました。一方、1週間のケアラボでのボランティアでは、ケアを必要とする立場の人も、ケアする立場の人も、一緒に軽井沢での滞在やアクティビティを楽しみます。ケアは行いながらも、’ひと対ひと’のコミュニケーションを大事にして、共に生活していく、という医療の在り方を学びました。

初期研修のうちから、オレンジで在宅医療を学べるようになれば、これから地域医療に関わっていこうとする学生にとって、非常に魅力的な選択肢になると確信しています。

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