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Vol. 120 保健改定に関して

医療ガバナンス学会 (2010年4月3日 07:00)


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河野クリニック
河野和之
2010年4月3日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行  http://medg.jp


保険医療機関及び保険医療養担当規則及び保険薬局及び保険薬剤師療養担当規則 の一部を改正する省令が3/5の官報に号外 第46号として公示されました。これにより、医科、歯科、薬価に関する診療報酬改定の改定が行われます。

これは、中医協の答申を元に厚労省が作成する省令等ですが、検査や手技・技術料・材料費などの金額が決定されます。

ちなみに、この号外には
○ 飲食店営業(めん類)の振興指針の全部を改正する件(同七七)
○ 旅館業の振興指針の全部を改正する件(同七八)
○ 浴場業の振興指針の全部を改正する件(同七九)
が、告示されておりますが3つとも今後5年間の目標です。

ところが、医療に関しては4月1日からの改定です。省令等の通常の公示期間は3~6ヶ月という話もありますが、なぜか医療に関しては1ヶ月もない状況が続いてきております。他の業界からするとかなり異常な状態と思われるようです。単純な変更であれば1ヶ月弱の公示期間でも良いのでしょうが、この改定は単なる単価の決定だけでなく、保険医療における手技や検査の適応など様々のことが変更されます。直接の改定とは別に厚労省はレセプトコンピュータ(レセコン)の電子化を進め ようとしております。保健改定にはレセコンのソフト及びデータの変更が必要になります。

公示する方は、「こう決めたからこうしろ」と一方的に言うだけですが、検査や手技など単純な出来高制でなくこれらの検査は月に1回しか算定できないとか、この検査ともう一つの検査は同月に同時に算定してはいけないなど様々な制約が 有ります。それらをふまえてレセコン業者はソフトを作り替えております。そのための準備期間が1ヶ月も無いと言うのは異常としか思えません。下手すると、この1ヶ月の間にも運用施行規則などを作り、さらに変更したり、制約を加える事もあります。

他に、問題になっている事があります。明細書の発行についてです。
明細書の発行には義務化される所そうでない所などの違いがあり、さらに、義務化される診療所で明細書発行体制等加算というものも有ります。この加算に関しては「基本診療料の施設基準等に係る届出書」という届け出をしなければならない。

これって変じゃないでしょうか?義務化しているのに、該当施設は届け出を出せと。しかも、電子請求だのオンラインだのといっている割にはこの書類は紙で提出しろと。

この届け出に関しても各地方厚生局でかなり異なっています。東北と九州は少なくとも「届出書」と「掲示物」と「明細書実例」の3点を要求しています。中国四国は「届出書のみ」1点でよいような感じです。関東及び東北厚生局見解は現在のところ届けてもよし届けなくてもよい。また、関東厚生局に電話しても対応した人によって、微妙に内容が違うといったことも起こっているのです。現在でもいろいろな憶測、解釈の違いによって混乱している状況です。こんな状況でも4月1日からは動き出さなければならないのは、おかしいと思うのは私一人でしょうか?

保健改定とは別問題ですが、医療崩壊、医師数の増加をとうたっているはずの厚労省が、現役の医師の切り捨てを行おうとしたのです。

それはレセプトのオンライン義務化です。それは、IT難民とも言える地域医療をになっている高齢の医師の切り捨てにつながるのです。もし義務化を強制したら、半数以上が診療を辞めるとまでいっていた状況が有りました。問題は性急な電子化への流れです。結果的には裁判なども起こり義務化ではなくなりました。多くの問題点に関しても声をあげてゆくのが必要なのかと思いました。

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