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Vol.201 現場からの医療改革推進協議会第十四回シンポジウム 抄録から(4)

医療ガバナンス学会 (2019年11月22日 06:00)


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2019年11月22日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行  http://medg.jp

2019年12月7日(土)

【Session 04】首都圏の医療崩壊  16:30 ~17:30

●具体例から見る外国人医療の課題とその解決策
大橋浩一

私は中国上海で生まれ、その後日本で育った。現在、錦糸町にある都立墨東病院に勤務する9 年目の循環器内科医である。心臓カテーテル室や手術室での検査・治療や外来業務に携わる傍ら、中国語しか話せない患者やその家族に対して通訳や中国語を用いた診療も行っている。
墨東病院は日本屈指の高度救命救急センターを擁するほか、感染症医療に代表される行政医療にも対応し、がん医療や心臓病・脳血管疾患医療などの高度で専門的な医療を提供、地域の中核として機能する公立病院である。墨東病院のカバーする医療圏には多くの外国人が居住している。2018年の年間外国人総受診数は延べ3000人を超え、受診する診療科も多岐に及ぶ。最も多いのは救急外来で、さらに産婦人科、小児科と続き、全ての診療科で外国人の受診があった。地域別に見てみると、中国・韓国・台湾を中心とするアジア諸国からの患者が9割以上を占めていた。
最近私が遭遇した事例を一つ紹介したい。
日本で兼業主婦をする娘の元に、育児と家事の手伝いのために訪れた60歳代の中国人女性が路上で意識を失い、救急搬送されてきた。診断は、完全房室ブロックという不整脈だ。不整脈のため脈が極端に遅くなり、脳に血液が行かなくなって気を失った。放っておけば命に関わる危険な状態である。救命医により迅速かつ的確な処置が施され、この患者は一命を取り留めた。しかし、その後必要になる治療を行うにあたり、入院治療費の支払が困難だというのだ。このような事例は墨東病院では枚挙にいとまがない。外国人患者が多く受診する救急病院の現場で、実際にどのようにして医療が行われているのか。そこからあぶり出されてくる問題点とその解決策について考える。
●東京の歯科医院開業時事情
橋村威慶

私は2001年に東京都江東区で歯科医院を開業し、2019年5月に東京都文京区で再び歯科医院を開いた。二度の開業を通じ、歯科業界の取り巻く環境と変遷を肌で感じた。その所感を述べたいと思う。
2001年当時、歯科医院は過飽和とまでは行かなくてもすでに供給過剰だった。都内に歯科医院が集中している中、間隙をついての開院だった。その後、日本の歯科医院数は2018年6月の8742施設をピークに、現在までわずかながら減少している。ただし、これは東京以外の地区の歯科医院数が減少した影響であり、都内はより一層供給過剰になっていた。特に文京区は全国平均の6倍以上の歯科医師数で、立錐の余地もないと思われた。その中で今回開業に至ったのは、開業地の商業圏調査で良い結果が出たためである。
商業圏調査では、歯科診療領域として半径500mを基準としている。今回の開業地の半径には、28の歯科医院が競合している。半径1キロ以内には102の歯科医院がある。歯科医院がコンビニより多いと言われるのも納得がいく。しかし、当該地の一日平均患者予想数は東京都平均の2倍の値で、前回開業した医院の商業圏調査よりも1.5倍の患者数だった。その他、昼間人口数が多く診療時間を夜間まで設定する必要がないこと、徒歩圏内に口腔外科など歯科外来がある病院が複数あり分業しやすいという利点があったこと、また個人的には職住接近であることから、再度の開業に踏み切った。
二度の開業共に金融機関から融資を受けた。融資が降りる諸条件のち、自己資金とか、年齢とか、経験年数とかは瑣末なことであり、一日患者来院数だけで融資額が決定されるといっても過言ではない。故に今回の開業は都内の倍の人数が予想され、金融機関からも前回の開業資金の2倍の融資が降りた。
開業して半年が経過した。本発表ではその後の経過をご報告する。
●無給医問題-研修医に給与が支払われるとどうなるのか
上田和朗

大学病院などで医師として働きながらも給与が支払われない「無給医」。多くは研修医、非常勤助手、大学院生です。これがもし、一般の企業に勤めていながら大学や大学院で教育を受ける立場であれば、給与を受け取らなければ授業料の支払いはおろか生活が成り立ちません。医師免許があるので別の病院で夜間等にアルバイトで稼げるから、または大学病院では学びの場であるから、まして昔からそうだから、という理由で、無給で勤務させることが許されるのでしょうか。無給医といえど診察を行うことで大学病院に稼ぎをもたらし、利益貢献をしているはずです。責任だけを担わされて正当な報酬を受け取れないのは、矛盾していないでしょうか。研修医に適切な給与を支払わないことでしか回っていかないとすれば、そのシステムは変ではありませんか。
若手研修医の志に頼り切っている状態で良いのか。考えていくための現状を知る機会になればと思っています。
●(地独)神奈川県立病院機構の崩壊
土屋了介

2014年4月、神奈川県知事に請われ、(地独)神奈川県立病院機構理事長に就任した。組織の崩壊を食い止めようと努力してきたが、2018年3月、「あなたは、……公共性の高い事業を担う機構の理事長として、十分な資質を有していないといわざるを得ず、……」との理由で解任された。したがって、機構の崩壊の原因は、県知事が十分な資質を有していない土屋了介を理事長に任命したことである、と言える。
今回、土屋了介が有していなかった資質について検討することによって、(地独)神奈川県立病院機構の崩壊を食い止めることに貢献したい。
以下、土屋了介が行った施策を示すことによって、如何に土屋了介の資質に欠点が多かったかをご理解していただき、現理事長が崩壊を食い止めることを期待したい。

土屋了介の施策一覧
1.理事会への月次収支報告の実施
2.県関係者以外の外部理事の登用
3.病院幹部人事の公募制導入
4.監査コンプライアンス室の開設
5.兼業規程の制定
6.県会議員の不合理な要求の拒否
7.無資格者の重粒子線治療センター長就任の阻止
8.病院職員による県保健福祉局(現・健康医療局)との直接交渉の禁止(機構の統治体制の確立)
9.県に対し、県出向職員の削減要求と不合理な行政業務の廃止要求

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