医療ガバナンス学会 (2010年4月13日 07:00)
~山形大学student doctorを終えて~
板橋中央総合病院初期臨床研修医
鈴木藍子
2010年4月13日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行 http://medg.jp
さて、指導医の教えのもと、臨床実習を終えた私たちの臨床研修先はどうなっているのでしょうか。やはり関東の病院や全国の有名臨床研修病院で研修したいという学生が多かったのでしょうか。
以下に、今年卒業した山形大学医学部医学科の学生の出身地や就職先について示します。
卒業生総数 102
山形県出身 26% (27/102)
山形県外出身 74% (75/102)
(関東出身 31% (32/102) )
山形県内に就職 57% (58/102)
(山形大学付属病院に就職 34% (35/102) )
山形県出身で山形県内に就職 85% (23/27)
山形県外出身で山形県内に就職 49% (34/75)
(内、関東出身で山形県内に就職 56% (18/32) )
出身県に就職(山形県以外) 29% (22/75)
出身県以外に就職 49% (50/102)
関東に就職 16% (16/102)
地方大学である山形大学も昨今の医療系志向の流れで全国から学生が集まっており、山形県内出身の学生は3割もいません。関東の有名私立高校からもたくさん来ています。
卒業生の約60%は山形県内に就職しました。県外出身の人でも半数近くが山形県内の病院に就職です。関東出身の人も6割近い人が県内の病院に就職しています。このように見てくると、県外、特に関東から来た学生が必ずしも関東に帰って臨床研修を行うとはいえないようです。
私の関東出身の友人たちは、はじめは関東に帰ると言っていたのですが、いつの間にか山形県内にマッチングしており、驚かされました。
私の推測では、山形大学の先生と学生は距離が近いからなのではないかと思います。山形大学では教育にも特に力を入れており、Student doctor制度もあってか、指導医も学生にきちんと教えなければいけないので自然と学生の指導にも力が入っているのだと思います。また学生も、「自分が患者さんに医療行為する」となったときに、中途半端な気持ちや手技ではできない、きちんと勉強しないといけない、という動機付けにもなっているのだと思います。もし、うまくいかなかったら先生に質問する、もう一度確認する、次はもっと上手くできるようにしたい、と自分から学ぶ姿勢が身につくと思います。
確かに、都会の病院では患者の権利意識の高まりで、学生が医療行為を行うことは難しいと思います。しかし、私たちは試験を合格し、名札にもstudent doctorと書いてあり、そのように行うことができればもう少し学生が行うことのできる医療行為が増えるのではないでしょうか。
昨今、医師の偏在化が叫ばれていますが、山形大学の実情を見ると自分の大学でより良い医学教育が行われれば都会だからといって就職するのではなく、これから医師としてスタートするためにはどこで臨床研修を行いたいかをしっかり考えている学生が多いように思います。特に、関東出身者で地元に帰ると言っていた多くの友人が山形県内に就職したことからもそのように言えると思います。
略暦
平成16年 山形県立鶴岡南高等学校卒業
平成22年 山形大学医学部医学科卒業
板橋中央総合病院初期臨床研修医