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Vol. 156 子ども手当の意義

医療ガバナンス学会 (2010年5月5日 07:00)


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子ども手当の意義は
所得の再配分と社会参加意識の向上
医療現場危機打開・再建国会議員連盟幹事長
文部科学副大臣
鈴木 寛
2010年5月5日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行  http://medg.jp


安心して子育てと教育のできる社会を実現していくため、中学卒業までの子供にこの6月から月額1万3千円の、「子ども手当」が支給されます。現在まで財源や支給対象の議論ばかりが注目されてきましたが、この手当には、我が国の医療・福祉サービスのお金の流れを変えることで、国民自らの目で必要なサービスを選択し、社会を形成していくという意味があるのです。

手当の使い道として、所得に余裕のない方は学用品の購買などに充てていただければと思いますが、高所得の方には、未来をつくる子供たちへの投資と考えて寄付をしていただくことも期待しています。

寄付文化の根付いているアメリカなどでは一部の小児病院や子供関連サービスNPO、人材育成を支援する基金などは多くが寄付金で運営されています。例えば日本なら、ワクチン接種など青少年の予防医療に関する基金、小児医療従事者の育成基金、無過失補償制度の整備、病児保育や子育て支援のNPOなど、多くの活動が考えられます。これらの活動の中から、国民が自分たちの目で必要だと思うものを判断して寄付をしていけば、良い活動が広がります。手当に所得制限を設けなかった理由はここにもあります。

市町村に手当を寄付することもできます。自治体は住民にとって魅力的なサービスを提供することで、国や都道府県の補助に頼らず住民と一緒になって地域を作っていくことができるでしょう。子供関連サービスを行う企業や、保育所設置など子育て環境の充実を望む企業が自治体への寄付する場合にも税優遇が受けられます。また、消費者も同じ学用品を買うのなら、子ども関連の公益活動に対して寄付や支援を行う企業の商品を選んで買う目が求められます。

こうした寄付が行われやすいよう現在の寄付税制の改正など制度整備を進めていくのは、私たち国の仕事です。こうしてNPO、市町村、企業の社会貢献活動を、国民が賢い目で公益性を判断していくことで、公共活動が促進されます。子ども手当の導入をきっかけに新たなお金の流れをつくることで、日本の医療や福祉の文化を変えていけます。ぜひ一緒に使い道を考えていきましょう。

(この文章は『ロハス・メディカル』5月号に掲載されたものです)

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