医療ガバナンス学会 (2010年5月9日 07:00)
今年4月の診療報酬改訂で、診療報酬明細書交付義務化と、地域医療貢献加算の二つが加わりました。
私は、どちらも、現在算定していません。前者は、7月から電子請求義務化に伴い開始予定です。
しかし、すでに行っている医療機関、また患者さんからは、否定的な意見が多くみられます。紙の無駄、内容がわかりやすいものではない、窓口で説明が困難、希望者は5%程度、など。私も、それらにおおむね同意見です。
地域医療貢献加算は、24時間労働を医師に強要するもので、とうてい算定する気にはなりません。携帯への転送設定にして、メッセージを入れてもらい、メッセージを入れてもらった場合のみ、対応する方もあるようです。
私自身は、通常の診療時間と、それ以外の自営業者としての仕事で精一杯で、これ以上の時間外対応などできません。労働基準法違反であり、それを厚労省が制度として作ったことは実に滑稽でもあります。携帯への転送設定にして、メッセージを入れてもらい、メッセージを入れてもらった場合のみ、対応する方もあるようです。
両者とも、中医協委員の一人の個人的主張であったり、政治家の個人的意見が、即、診療報酬に取り込まれた悪例だと考えます。
その結果、現実に実行するときにいろいろ困難を伴います。現場に混乱をもたらし、負担を強い、ストレスとなり、もはや迷惑です。医療を行うことそのものが、ストレスの多いもので、それ以上のストレスは勘弁してもらいたい。
診療報酬点数に入れるのなら、その前に現場の意見を広く聞き、慎重に検討してから、点数化すべきです。健康保険の貴重な、財源を使うのですから。
従来も、官僚が、思いつきで政策誘導のため、新項目を作り、失敗した例は数多くありました。
今でも、患者署名を要求したり、書類作成に手間と時間のかかる要件が多くみられます。それらは、多忙な医療現場には不要であり、私には枝葉末節に思えます。
やはり、現場の意見が、いざ実行する際には絶対必要なのです。
私は、本来、診療報酬点数の項目と点数は現場が原案を提案すべきであると考えてきました。官僚主導の、政策誘導的な新規なものは、現場には不要です。そんな余裕は現場にありません。むしろ、必要な医療行為に点数がついていないことも多い。
まずは、きちんとした、必要な仕事に対し、必要な価格設定をする必要があります。
原価、設備維持や継続に必要な維持費、人件費全てを反映した価格設定。
それを医療現場が提案する。
それを、政治家、官僚が検討し、原案を公表する。
再度、医療現場から意見を募る。
その後、最終決定する。
それが現場に混乱を生まない、診療報酬点数の決定法だと考えます。