Vol.107 新型コロナウイルス感染初期にカモスタットの投与を
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2020年5月22日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行 http://medg.jp
5月7日にレムデシビルが特例承認され、新型コロナウイルスの治療薬として使用できるようになりました。
しかし、レムデシビルの添付文書には「5. 効能又は効果に関連する注意 5.2臨床試験等における主な投与経験を踏まえ、現時点では原則として、酸素飽和度94%(室内気)以下、又は酸素吸入を要する、又は体外式膜型人工肺(ECMO)導入、又は侵襲的人工呼吸器管理を要する重症患者を対象に投与を行うこと。」と記載されており、軽症患者に投与されることは期待できないようです。
アビガンも5月中に特例承認されるとのことですが、アビガンには催奇形性があり、若い人たちには安易に投与してほしくない薬です。
カモスタットメシル酸塩はin vitroの実験で新型コロナウイルスの侵入を阻止すると報告されていて1)、新型コロナウイルスの治療薬として期待されています。
カモスタットメシル酸塩は膵炎や術後逆流性食道炎に長年使われてきた薬で、安全性が明らかであり、錠剤であるため投与しやすいというメリットがあります。
本来、薬は必要最低限の使用が望ましく、適応外使用はしない方がいいと思いますが、感染者との濃厚接触を避けられない医療従事者が感染したかもしれないと思った時、臨床診断に基づき早期に服用してはどうかと考えます。
知り合いの開業医は発熱センター勤務の日には発症防止のため朝からカモスタットを飲んでいきます。
日本感染症学会は確定診断がついていない患者には抗ウイルス薬の適応がないという声明を、5月1日(第2版)および5月14日(第3版)に発表しました。
もちろん確定診断前に有効性が確立していない治療を行うことは一般的にはすべきでないと思いますが、医療従事者は一般の人よりも初期症状や副作用の徴候を自分自身で察知できると思うので、長い歴史があって副作用が少ない薬剤について予防的に内服するかどうかを医療従事者自身である程度判断してもいいのではないかと考えます。
前述の開業医が行っているコロナ対策「新型コロナウイルス感染症に対する発症前超早期内服治療について」(pdf)は、
https://enkakunp1.web.fc2.com/
のトップページにリンクがあります。
新型コロナウイルスワクチンができるまでの対応策の一つとして、カモスタットメシル酸塩の早期投与を行えば、医療従事者も安心して働くことができ、医療崩壊を防ぐことができるのではないかと思います。
1) Hoffmann et al., 2020, Cell 181, 271-280