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Vol.219 現場からの医療改革推進協議会第十五回シンポジウム 抄録から(10)

医療ガバナンス学会 (2020年10月28日 06:00)


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2020年10月28日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行  http://medg.jp

現場からの医療改革推進協議会第十五回シンポジウム

11月8日(日)

【Session 10】遠隔・オンライン診療 11:30~12:05

●ウィズ・コロナと遠隔画像診断
北村直幸

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的流行後、医療におけるソーシャルディスタンスの手法として、遠隔医療が注目を集めた。その代表的存在がオンライン診療だ。病院に出向かず、パソコンやスマホで診療を受ける。映像や音声通話で問診を受け、処方箋をもらうこともできる。日本ベンチャー協会のまとめによると、今年5月13日の時点で1,596の医療機関がオンライン診療を実施している。アメリカで3~4月に実施された調査でも、オンライン診療を行った医師は前年の9~21%に急増したという。
遠隔画像診断もまた、遠隔医療の一つに数えられる。ところがこちらは普及が加速しているように思われない。コロナ第一波が流行していた4月下旬、弊社は自社の遠隔画像診断システム「LOOKREC」の無償提供を始めた。たとえば街中で開業している一般内科医が、コロナの疑いがある患者を前に診断に迷った時、LOOKRECがあれば、遠隔地の専門医とすぐに画像共有して相談できるはず。そういう狙いだった。しかし反応は乏しかった。
遠隔画像診断に対して、医師もあまり関心を持っていないのかもしれない。コロナ流行前の2019年3~6月、日本放射線科専門医会・医会が実施したアンケート(回答者の92%が画像診断医)によると、個人が読影料を受け取る遠隔画像診断を行っていると答えた医師は27.4%。前回調査(2015年)とほぼ同じだった。
それでも、遠隔画像診断には大いにメリットがある。高度診断技術をへき地にも提供できる。産休育休中の医師が在宅で読影すれば、医師不足緩和にもなる。withコロナの社会状況に対しても、何か大きなメリットをもたらすことができるのではないか。われわれはまだそれに気づいていないだけなのではないか。そこを見つけられれば、リモートワークが一気に広がったように、遠隔画像診断もスタンダードになる。そう信じて模索を続けている。

 

 

●COVID-19の流行下におけるオンライン診療活用状況について
多田絵梨香

2018年4月、診療報酬上に「オンライン診療料」「オンライン医学管理料」が新設され、日本においても保険診療でのオンライン診療活用が開始した。一方で対象疾患の制限や算定要件の複雑さ等いくつかの要因で、点数が新設されて約1年が経過しても、当該点数の算定回数は日本全国で月間100回程度に留まる状況が続いた。
2020年4月の診療報酬改定においていくつかの要件緩和が決定する中、これを超える劇的な環境要因の変化が2020年2月に起きた。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行拡大である。
COVID-19は猛威を奮い、世界各国で多数の感染者・死者を出した。日本においても死者数こそ他国に比べ少ないものの、多くの国民が外出を自粛し、「新しい生活様式」が検討されるほどの感染拡大を見せた。この流れを受け、厚生労働省は電話診療・オンライン診療の時限的・特例的措置を設け、初診患者への活用、対象疾患制限の撤廃等の要件緩和に踏み切った。
実際にCOVID-19の感染拡大により、慢性疾患を持つ患者は、発熱・咳嗽等の症状を持つ患者への医療を提供する医療機関への通院を避けたいとの考えが広がった。医療機関側はそのようなかかりつけ患者に医療を継続的に提供する手段として、また、COVID-19様の症状で不安を抱える患者に医療相談・受診勧奨を行う手段として、オンライン診療の活用を積極的に考えるようになった。
このようなニーズの広がりを受け、株式会社MICIN(マイシン)が提供するオンライン診療サービス「クロン」には2020年3月以降、平時の10倍を超える医療機関からの導入問い合わせが数ヶ月にわたり続き、利用患者数も平時の10倍を超える状況が現時点においても継続している。
本シンポジウムにおいては、実際にどのような患者にオンライン診療の活用が広まったか、活用した患者がどのような感想を抱いたか、また、活用が広がる中で医師がどのような課題を感じているかといった事項について調査結果等を用いて紹介する。

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