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Vol.223 現場からの医療改革推進協議会第十五回シンポジウム 抄録から(14)

医療ガバナンス学会 (2020年10月31日 06:00)


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2020年10月31日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行  http://medg.jp

現場からの医療改革推進協議会第十五回シンポジウム

11月8日(日)

【Session 14】コロナ8 診療現場から-2- 14:50~15:50

●新型コロナウイルス -臨床医は、情報整理して患者様に伝える。
岡本雅之

世界中を恐怖に陥れた新型コロナウイルス。臨床の現場でこそ、知識の整理が必要でしょう。風邪みたいなものと油断すべきでもない、罹患を避けられるなら避けたい、というのが基本線です。PCR検査を信じすぎても、信じなくてもダメでしょう。
ヒトコロナウイルスは今まで6種類あり、今回は7種類目だから“新型”コロナですね。ちなみに第5コロナはSARS、第6コロナはMARS、どちらも指定感染症です(新型コロナを2類から外すことを提案していますが、全く相手にされません)。それ以前のコロナは、「毎年かかってチョット具合悪くなってた普通の鼻風邪」ということです。
新型コロナは、臨床的にどのように感染するか。特徴は、狭い空間でのエアロゾルによる感染です。10分以上、対面で人と喋るのは避けたいところ。1時間ごとの石鹸での手洗い15秒は守りたい。口腔内洗浄(「GUM」「モンダミン」など)も必要。新型コロナウイルスの検査に関しては、fakeinformationも流れるが、実際には検査は有用です。各種検査を組み合わせて治療に生かすべきでしょう。有症状で新型コロナが疑われたらPCR検査をすべきです。もちろん、診療所レベルでは抗体検査のIgM・IgGが補完すると考えられます。生化、CBC、血液像、CRPなどの基本的な検査、対症療法も疎かにしてはいけないでしょう。新型コロナウイルスに対するPCRで陽性判定になるということは、「確実に紛れもなく新型コロナウイルスの証拠を掴んだ」という意味です。もちろん作業工程やらで偽陽性は存在しますが、ごくわずかです。今後の見通しですが、悲観材料はありません。強毒性ウイルスは、もはやいないでしょう。亡くなった方と一緒に死滅したと考えられます。今後は、

(1)新型コロナは、スペイン風邪と同じ経過を辿る。
(2)ワクチンは出来ても不十分なもの。インフルエンザのようにいつまでも続きます。
(3)生活習慣病、呼吸器疾患、肝臓疾患などは、新型コロナの致死率をアップさせるので放置すべきではありません。

では、開業医はどう対応すべきか。臨床の現場では、看護師や事務職などには患者さんとの接触を極力避けさせますが、医師としてはインフルエンザ患者さんを診るように、隔離診察室で普通に対応していきたいと思います。
以上、2020年4月以降の外出自粛生活から、8月のPCR検査陽性者数の増加を踏まえて、一開業医としてまとめてみました。
●医療は「崩壊」・「逼迫」したのか:「困った」の内実
堀成美

新型コロナウイルスでは流行初期から、「医療崩壊」「オーバーシュート」といった恐怖喚起につながる用語がよく用いられていた。しかも、使う側も受け取る側も独自の解釈であり、「だから何をすればいいのか、してはいけないのか」ということも曖昧であった。
医療の現場で初期から言われていたことは、「確かに新しいウイルスかもしれないが、予防法や対応方法はこれまでの経験や診療の原則を大切に、十分対応していける。しかし、<その周辺>問題が診療の負荷を<必要以上に>大きくしている」ということであった。
負荷が上がるということは、患者や主治医だけでなく、診療に関わる人たちが本来使える時間や余裕を奪うということである。
「逼迫」や「崩壊」と表現される事象は、ウイルス感染症そのものよりは、人為的に作られたもののほうが大きいということだ。実はこのような現象は初めてではない。新しい感染症について、「騒動」となる度に繰り返されている。そして終わりの頃には、反省めいた報告書なども作られたりする。それでも繰り返されているのはなぜか。最前線の医療機関と保健所の目線で問題提起したい。
●新型コロナウイルス感染症対応における遠隔医療通訳の活用状況
澤田真弓

国内における訪日及び在住外国人患者の対応を支援するため、私たちは2014年から医療機関向けに17言語の遠隔医療通訳サービスを運営している。利用ケース数及び機関数は立ち上げ時から右肩上がりで伸長していたところ、2020年4~5月の新型コロナウイルス感染症拡大に伴う緊急事態宣言の期間、対応ケース数は突如4割程度の減少を経験した。しかしながら、緊急事態宣言明け6月からは回復し、7月以降は元の成長軌道に再び乗った。訪日外国人が激減し、在住外国人患者対応ケースが全体の多くを占める現在、新型コロナウイルス感染症拡大により、対応ケースの増加や感染症対策の説明等、医療通訳を活用して説明すべき場面が増えている。
現在も医療機関や保健所における新型コロナウイルス感染症患者及び疑いのある患者の遠隔通訳対応は、定常的に発生している。2020年1~8月までの新型コロナウイルス感染症に関連する遠隔医療通訳の活用ケースを分類し、特徴を整理したい。そして、対話を定型化できる場面や領域等を明確にすることで、withコロナ時代における、より安全で効率的な多言語体制整備に資することを目指す。

 

●日本医師会の対応
横倉義武

日本医師会での新型コロナウィルス感染症への対応を振り返り、今後のパンデミック感染症の診療の糧としたい。
日本医師会から会員への情報提供は、2019年末に中国武漢で原因不明の肺炎患者が増加の報道で1月7日に都道府県医師会を通じて医療機関へ注意喚起を行ったのが最初である。その後1月22日からは日本医師会HPで継続的に情報提供を開始、1月28日に新型コロナ感染症対策本部を設置し、情報収集、情報提供を図った。2月14日には加藤厚労大臣に、要望を行うと共に、全国の医師会との情報共有および課題の吸い上げのためテレビ会議による担当者連絡協議会を開始、現在まで毎週行っている。さらに安倍総理に対し、医師が必要と判断したPCR検査を行えない状況の改善を強く要望した。3月下旬に入り医療崩壊をもたらす危険が高まったため、4月1日に「医療危機的状況宣言」を行い、同時に、総理大臣、厚労大臣等に非常事態宣言の発出を要望した。

医師会の活動目的は、(1)国民医療体制の確立、即ち地域医療の安定した提供体制への提言と国民皆保険制度の維持、(2)安全な医療提供の確立、(3)保健活動を通じた国民の健康への働きかけ、(4)医療機関の経営の安定等にある。新型コロナウィルス感染症の医療体制の構築に向けて政府へ要望を行った重点項目は、感染症に対応した地域医療提供体制の強化、PPEの備蓄と配分、適切な財源の確保であった。 医療現場での献身的な医療活動を強力に支えるため、4月18日、永井良三自治医科大学学長を座長に、さまざまな領域の専門家で構成される「COVID-19有識者会議」を日本医師会に設置。また、医療機器や衛生用品等を国内生産で賄う体制整備を支援するため、「日本物づくり企業合同対策本部(仮称)」を設置することを求め、5月4日策定の政府の基本方針に「医薬品、医療機器等の医療の維持に必要な資材の安定確保に努めるとともに、国産化の検討を進める」と盛り込まれた。
医療機関の経営状況の悪化が著しく、財政支援や補正予算で手当てが必要となり、「新型コロナ緊急包括支援交付金」「地域医療確保支援」「診療報酬」の三本柱を二次補正として政府に要望、医療・介護分として2兆5千億の予算が用意された。

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