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Vol.23101 「「クチコミでの病院批判」のその後」のその後

医療ガバナンス学会 (2023年6月13日 06:00)


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北海道大学医学部
金田侑大

2023年6月13日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行  http://medg.jp

「〇〇病院は、ジーパンの上に白衣着てる先生がいるらしいよ。医学部でいいって言われてるの?」

先月、普段からご指導いただいているときわ会常磐病院で乳腺外科医をされている尾崎章彦医師から、口コミでの病院批判に関する寄稿があった(http://medg.jp/mt/?p=11615)。わざわざGoogleに書き込んでまで病院を批判するなんてすごい熱量だなーと、医学生の私も完全に他人事として記事を読んでいた。しかし、実際患者の立場になってみると、このGoogle口コミは、すごく病院にかかる際の判断に影響するなということを、現在進行形で実感している。

というのも、4月の末に91歳になる祖母が急性脳梗塞になってしまい、緊急手術を受けることになったからだ。幸いにも早いタイミングで母が救急車を呼んでくれて、5時間にわたる手術で命をつないでいただき、現在は入院しながらリハビリなどのケアを受けている。ちょうどコロナが5類に変更されたタイミングで、一日15分までという制約はあるものの面会することも可能となり、私も実家に戻って会いに行くことができた。話しかけると目を開けて返事をしてくれ、手術を担当してくださった脳外科医の先生や、毎日、病状をみて経過を教えてくださる看護師の皆様には感謝しかない。

さて、そんな中で病院のソーシャルケアワーカーさんから言われるのが、「転院する療養病院を決めてください」ということだ。祖母はまだ、胃ろうの手術を受けられるほど回復した状態ではなく、経鼻で栄養を摂っている。しかし、経鼻栄養は胃ろうに比べて管理が難しく、また、感染の恐れなどもあることから、なかなか候補とできる療養先は多くない。そんな時に、真っ先に判断材料としたのが各病院のGoogle口コミだった。

尾崎医師が報告していたように、口コミに書かれていた内容は、「ここの病院は施設が新しくて綺麗!」といったものから、「整形外科の先生が急にやめたらしくて手術がキャンセルになりました」といった不満、さらには「駐車場の守衛が最悪!」といったものまで千差万別であった。冒頭の一文は、ある病院の口コミを見た母が、私に聞いてきたことだ。当然、ジーパンの上に白衣で病院に出ることは許可されていないし、実習にそんな服装で行こうものなら、“厳重注意”を受けることは必至だろう。そして、自分の祖母を診ていただく、という観点で考えると、いくらいい腕があろうと、そのような先生を放置する病院には任せたくないなと率直に感じた。細かい部分に配慮できない人が、そして病院が、自分の祖母に十分に気を使ってくれるわけないよな、と思ってしまうからだ。

確かに、口コミの多くは、待ち時間などへの待遇に対する不満や、医師に対する診察での不満(配慮がない、寄り添ってくれない)といったものが大半を占める。しかし、その中には、受付の事務員さんや実習中の医学生、時には病院内のコンビニの店員さんにまで矛先が向いていることは、しっかりと意識を向けねばならないことだと私は感じた。

なぜなら大前提として、病院に来る人は、どこか普段の生活とは違うマイナスの要素、例えば、自分の病気が何かわからないという不安や、日常生活の何かを犠牲にするというストレスを抱えて病院に来ているからだ。その人たちに寄り添うために必要なのは、診察と診断だけではない。彼らが満足できるようなサービスを提供することが、病院で働くすべての人に求められているのではないだろうか。

最近はチーム医療がもっぱらの話題である。曰く、それぞれの専門性を発揮して、助け合いながら患者の治療戦略を立てるのが重要、とのことだ。しかし、この”チーム”とは、概ね医療従事者のことを指しているのだろう。しかし、患者から見れば、医師も看護師も、ソーシャルワーカーも清掃員さんも、同じ、「病院で働いている人たち」だ。どこかで嫌な思いを感じれば、病院に対して嫌な印象を抱くことに繋がってしまう。

尾崎医師が仰るように、医療者が、自身の診療を謙虚に反省し、より満足度の高い患者サポートに繋げることはもちろん重要だ。それに加えて、事務員さんや医学生、バイトも含む病院に従事する人全てに対して、意識の啓発に着手することが、患者が信頼できる病院の雰囲気を醸成するために必要なのではないか。一患者家族として、自身の日頃の実習の態度を反省するとともに、私はそう感じた。

【金田侑大 略歴】
北海道大学医学部5年。2021年9月〜2022年6月までイギリスはエジンバラに留学していました。北海道は高緯度のため、朝3〜4時で既に明るく目が覚めてしまうのですが、そこでメールの返信をする度に、”お前は今どこにいるんだ”と、時差を疑われております。

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