医療ガバナンス学会 (2024年10月7日 09:00)
Besant Hill School of Happy Valley 11年生
櫻井裕太
2024年10月7日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行 http://medg.jp
長塚さんは、「それなら一度上先生をご紹介するので、ご指導をいただけないか相談してみよう。上先生は医療の分野だけでなく。広範な知識と世界的なネットワークをお持ちなので、櫻井君のような世に羽ばたきたいが周りに理解者の少ない、ある意味悩める子羊の成長に大きな刺激をいただけるのではないか?」とおっしゃいました。そして私は上先生を知るために先生の書かれた本や出演されたYoutubeなどをほぼ全て目を通し、そして医療ガバナンス研究所のインターンのぺージに「医療ガバナンス研究所の目標は、世界と戦える若い人材を育てることです。」という素敵な文章を目にして、是非先生にお会いさせていただきたいと思い長塚さんに「是非先生のもとで修行をさせていただきたいです。」という電話をしました。
こうして、私はアメリカから帰国した夏休みの初日に長塚さんと共に高輪にある医療ガバナンス究所を訪れ上先生と初めてお話をする機会をいただきました。
この日の会話の中で私が一番印象に残ったのは、先生が「なぜ区長選挙では、国政選挙や都知事選挙のように政党が前面に出ないのか?」と問われた時のことです。
私はその問いに対して素直に「分かりません」と答えました。すると、先生は一言「ヒントは歴史だよ」とおっしゃいました。
私は最初になぜ区長選挙では、国政選挙や都知事選挙のように政党が前面に出ない理由が良く分かりませんでしたが、粘り強くまた何個かヒントをいただく中で、市町村と都道府県とので違いとは何かについて考えました。
市町村は自然発生的に形成された地域共同体であり、その運営は地域住民との密接な関係によって行われている一方、都道府県は中央官庁の一部として設立された行政組織であるから都道府県知事は官僚出身者が多く政党の支援が重要な要素となりやすいためではないかと考えました。
この考えがあっているか間違えているかはさておき、このような事を考える機会や学ぶような出来事は高校生にとってはなかなか無く、なぜ長塚さんが「それなら上先生の下で学ばせていただくべきだ」と強く勧めてくれた意味を理解しました。
上先生から最初に頂いた宿題は研究室がある高輪の歴史や重要な場所を自分の足で歩き体験してレポートを書くというものでした。今回のインターンでは調べて体験して書くということをひたすらに行いました。
さらに、上先生から直接レポートの指導を頂いたなかでも特に印象に残っているのは、「ファクトがないねん」というお言葉です。つまり、私の文章には具体的な内容や事実が浅い、無い。ファクトに基づいており伝えるべき重要な情報は、具体的で汗を流して得た体験を通じた実際のデータや観察、事実といった中身のある文章であるということなのだと言うことです。ですが、インターンの初期や中期の私はまだその「ファクトに基づいた文章」を書くことができていませんでした。
私は小中学生の頃から文章を書くのが苦手であり文章を書くことに対してのコンプレックスのようなものを持っていました。しかし、上先生から「見て盗むことが重要だ」と指摘をいただき、先生が執筆された新聞や雑誌や論文を読むことで、どのようにして中身のある文章を書くのかを学びました。また研究所で上先生の書かれた文章をコピー機で取り込みをするお手伝いをさせて頂いたので盗んで学ぶという気分としては見習いのコックが師匠の調理した後のフライパンに付いたソースを舐めるような感覚でした。
また先生から読みなさいと言われた本も大変参考になりました。
「胡蝶の夢」「陽だまりの樹」「冬の派閥」「花のれん」
そして必死に学ばせていただく中で、MRICにて私が書いた文章を投稿させていただくチャンスをいただきました。
それから私は、自信を持って文章を書くことができるようになりました。この成長は、いただいた教えと上先生と研究室の皆様からの御指導のおかげです。
Vol.24159 歴史を学び現代社会と繋げる( http://medg.jp/mt/?p=12560 )
●インターン中に私が進んで行った事
それはお茶だし、研究所の清掃、気配りです。日頃お世話になっている研究室の皆様やご指導をいただいている先生に何も経験もない高校生の私でも、何かの役に立てる事、それは野球生活で培った掃除力と気配りであり、目に見えるところはもちろん目に見えないところの隅々まで力と気持ちを込め磨き上げたり、お飲み物が無くなりそうになったらお次に何を飲まれるかを聞いたり、靴とスリッパを揃えたり、というようなことだと思いました。そして1の指示があれば2や3以上の事をする!と意識するようにしました。
●新宿駅前で行ったティッシュ配布
今回、もう一つ力を入れた活動の一つに、ティッシュ配布があります。この活動は他のインターン生や大人たちと協力をして行った活動です。私は個人結果として二日に分けて合計約2時間30分で約650枚のティッシュを配布いたしました。
私は一人ひとりに対して誠意を込めて向き合い、丁寧に頭を下げてティッシュを配布し、その過程で数千人以上の人々に声をかけましたが、その多くは受け取ってもらえませんでした。しかし、断られることにめげずに人々の表情や反応を観察して学んでそれぞれ異なる相手に対して適切なアプローチを取ることに努めることにしました。特に意識したのは「どう工夫すれば他の人たちよりも圧倒的な結果を出せるか」ということです。
考えた結果、人によって異なるアプローチが大切で相手の目と合ったほんの0.1秒の間に次の行動を決める。この短い時間の中で最善策を導き出すことが、この活動で成果を上げるための鍵だと感じました。
年配の方々には、笑顔で深く頭を下げるとほとんどの方が心よく受け取ってくれた一方で、若い学生にはやや難しさを感じました。特に男子学生には少し軽いノリで話しかけると反応が良いが基本は受け取ってもらえず、逆に女子学生にはあまり強い存在感を出さず、控えめに差し出すことで受け取ってもらえることがありました。
また、中年の働く層には、さわやかな笑顔でまずお疲れ様ですと伝え、汗が見える薄い青のシャツを着て頑張りを目に見える情報として与え誠意を伝えようとしました。また、子連れのお母さんには、まずお子さんと同じ目線まで腰を下ろしてティッシュを渡し、その後は「お母様も、もし良ければ」と言って手渡すというように少し工夫したアプローチを行いました。
今回のティッシュ配布を通じて、私は世界一の乗降客数を誇る新宿駅の前に立ち、社会の人々の流れを間近で目にして活動する機会を得ました。その中で、私は「自分もこの大きな社会の一員である」という実感と同時に、「ただ埋もれて終わりたくはない」という強い想いが芽生えました。ティッシュ配布という、この経験が私にとって社会の中で自分の道を切り開く一歩となるのだと信じて必死に取り組み、直感的な判断力や柔軟な対応力が身につきました。
たかがティッシュ配布かもしれませんが、社会の波の中で揉まれながら人々と直接接することで得られる学びは想像以上に大きく、これこそ本物の経験だと思います。
●最後に
私が思う上研究室は人と人が繋がり巡り合い心から成長できる場所です。
研究室は高輪にあり、かつて外国の大使の方々が住んでいたアパートメントの2階にあり、広さでいうとテニスコート半面ほどのこの研究室には、某有名大学の教授や大企業の関係者、政府関係者、政治家、旧華族、元メジャーリーガーといった各界の著名な方々がよくいらっしゃり、高校生の私とも気さくに話をしてくださいました。時には冗談を交わし、時には真剣な質問にも丁寧に答えてくださり、時には大笑いすることもよくありました。
そして、その後には連絡先を交換させていただくという普通では考えられないような貴重な体験を何度もしてきました。また、そこで仲良くなった方々から、新たに面白い人を紹介していただくこともあり、その出会いを通じて自分の人脈が広がると同時に、自分の進路に対する考えや、将来のビジョンまでもが少しずつ変わっていきました。
また、先生は政治家先生との視察や先生のお友達さん達との会食にもよく私を連れて行ってくださりました。普通の高校生である私がそういった機会に直接参加できたことは大変光栄な経験であり、また会食の料理屋さんに向かうときに先生の横を歩いているときは、まるで先生の付き人になったかのような気持ちになり、その時間はとても楽しく、忘れられない思い出となっています。
そして、先生はよく「お世話になったらお礼のメールや感謝の気持ちは必ず伝えなさい、これができるのとできないのでは大きく違うよ。」と私に教えてくださいました。先生からは、礼儀や大人としての在り方、大人としての立ち振る舞い、場の作り方、作法、スマートな話し方というのを先生の側で見て感じて学ぶことができました。
最後に、今回のインターンを通じていただいたご縁、そして皆様からいただいた温かいお言葉やご指導に心から感謝いたします。私は、社会に貢献できるような人間になるべく、引き続き精進を重ねていきたいと思います。また日本に戻った際には少しでも成長したご報告をできるようにご挨拶に伺いたいと思います。これからも末長くご指導、ご鞭撻のほど、どうぞよろしくお願い申し上げます。
そして、上先生や研究所のスタッフの方々には特別に温かい愛情やご指導をいただき、いつも可愛がっていただきましたこと、心より感謝いたします。本当にお世話になりました。