医療ガバナンス学会 (2009年3月12日 14:21)
おその整形外科・院長、東京保険医協会・広報理事
於曽能正博
医療ガバナンス学会 (2009年3月12日 10:22)
山形大学医学部長
医科学系大学院脳神経外科教授
嘉山 孝正
医療ガバナンス学会 (2009年3月11日 14:25)
野村英昭(血液疾患患者の会フェニックスクラブ・事務局)
医療ガバナンス学会 (2009年3月11日 14:23)
JR東京総合病院 血液・リウマチ科
主任医長 小林 一彦
医療ガバナンス学会 (2009年3月11日 11:26)
医療制度研究会・済生会宇都宮病院 中澤 堅次
医療ガバナンス学会 (2009年3月10日 14:28)
衆議院議員 橋本岳
医療ガバナンス学会 (2009年3月10日 14:27)
鈴木寛(通称すずかん)
医療ガバナンス学会 (2009年3月9日 14:29)
1、日本で骨髄移植が受けられない?!
「まさか…」。 初めて骨髄移植問題を知った時の率直な感想は、このような
ものでした。血液腫瘍の患者さんに対する骨髄移植は、
する一般的な治療法です。そのため、
ど、私には俄かに信じられない話だったのです。
しかしここ数年、医療の分野において、
いるのも事実です。大野病院産婦人科医の刑事告発、
イリスク医療からの撤退。最近では、
専門医師全員が、3月末で離職するという報道もありました。
受験をした5,6年前には、考えてもいなかった事件ばかりです。
る事故や事件報道により、医療現場は疲弊し、その一方、
麻痺してきた気がします。実際、
医療界ではどんな問題が起きても不思議ではないと感じている自分
2、骨髄移植フィルター 『ボーンマロウコレクションキット』
問題の発端は昨年の末に遡ります。
社が、世界金融危機のあおりを受け、
儀なくされたのです。それに伴い、
ター「ボーンマロウコレクションキット」を、
なりました。ボーンマロウコレクションキットは、
ら骨片や凝血塊を取り除くために用いるフィルターです。
可欠な医療機器で、この報道によって、
がっていきました。
問題が発覚した12月の段階で、
と発表しました。
労働省は当初、3ヶ月強の在庫はあると楽観視していました。
労省の予想よりも深刻でした。なんと1月半ばまでに、
ルターが出荷され、
何故このような事態が引き起こされてしまったのでしょうか。
3、フィルター問題とトイレットペーパー騒動
原因は、症例数の急激な増加ではありませんでした。
骨髄移植フィルターの供給がいつ再開されるか見通しが立たない中
が在庫確保に奔走したことが、在庫激減の原因だったのです。
増えてないからといって安心できるほど、
ながら、各病院は自らの病院で骨髄移植を安全に行えることを、
ます。そのため、再供給の情報が十分でない状況では、
療機関から骨髄移植フィルターの融通を打診されたとしても、
不安から、その要請に応じることができません。このため、
はあるのに骨髄移植を受けることができないという不幸な事態に陥
です。
過去を振り返ってみると、
経験しています。トイレットペーパーの買い付け騒動です。
ウンの大丸ピーコックストアで始まったパニックは、
いきます。マスコミの報道に踊らされた人々は、
ためにスーパーやデパートに押し掛けました。しかし、
トイレットペーパーが無くなるという情報は根も葉もないものであ
らかになります。実際、
ペーパーの生産量は安定しており、
4、二つの事件から見える情報開示の重要性
この2つの事件に共通しているのは、
という役割を、国が果たせなかった点です。前述の通り、
フィルター問題に関する情報や方針を明らかにしませんでした。
や医療者は不安を感じ、日本中の医療機関が「われ先に」
に殺到したのです。
一方、
くなる」という誤った噂や報道が飛び交う中で、
ていたのでしょうか。
実際のところ国民にはしっかりと伝わっておらず、
がりませんでした。
態を引き起こしてしまいます。新旧2つの事件は、
に改めて示しているのです。
次の項では、現在の世界金融危機への各国の対応を見ながら、
機対策を実際に行う上で歴史に学ぶ重要性を、
5、世界金融危機に見る危機管理能力の向上
バブル崩壊に始まった長期不況が「失われた10年」
の知るところです。
タイを発端とする東アジア通貨危機、
引き上げや特別減税の廃止による大幅な増税によって、
に、同年11月、
市場の信用収縮が急速に進んで銀行間での資金調達が困難になり、
行は、三洋証券の破綻からわずか2週間後に破綻を迎えます。
用収縮は一層悪化し、拓銀の破綻から1週間後には山一証券、
期信用銀行の破綻につながっていったのです。一連の流れの中で、
日銀は、金融機関の信用を回復させ、
ことはできませんでした。
一方、
融危機が明らかになった後の各国の対応に限れば、
えたものになっていると言えます。例えば、
ブアメリカ、
イギリスの住宅ローン第5位のノーザンロックで信用収縮からの取
起きた際にも、イギリス財務省は預金を全額保護する旨を公表、
ド銀行が資金の貸付を行うことで事態の収拾に努めました。
ける各国の対応を良い手本として学び、
の失敗から、医療での危機対策を確立していく必要があるのです。
6、医療危機を繰り返さないために
前述の通り、
その影響は実体経済にも大きな影を落としています。
りません。世界1位のファイザーでさえ、
にワイスを買収するなど、
の製薬企業であれば、
済的な状況を抜きにしても、そもそも薬価が安く、
度の薬価を見込める日本市場は、
その上、
算部門として切り捨てられる可能性を常に抱えていると言えます。
現に、昨年11月には、
となりました。
ませんでしたが、単に幸運であったというだけのことです。今後、
期化する可能性を踏まえると、
ミン注射剤がいつ現れてもおかしくない状況であり、
危機対策が絶対に必要なのです。
7、医療危機対策の提案
医療危機対策を立て、
には、世界の経済状況やバイオ業界、
的な戦略のもとに行動することが必要です。
速やかに行動することは当然重要ですが、
の予防に重点を置いて対策を立てる意識がより重要なのです。
以下で、
せていただきます。
1) 長期的な戦略によるリスクの減少
繰り返しになりますが、
おいて大きな問題となったのは、
受けた唯一の製品であったことが原因でした。
が小さく参入事業者が少ない医薬品や医療機器は、
して世界中に向けた製品供給を行っている場合が多く、
スクを内在しています。この点を踏まえると、まず行うべきは、
て当該リスクを抱える医薬品及び医療機器を把握することです。
報を頻繁に更新することも必要になります。
その流れについていくことを怠ると、
す
次に、当該医薬品及び医療機器の、
進することが必要です。それによって、
が競合する環境を整え、
目指します。
2) 問題発生後の速やかな解決
勿論全ての危機を未然に防ぐことは不可能でしょう。そこで、
替品の輸入を行う国内企業を募ることになります。
題においても、問題発覚後、
の代替品を、バクスタージャパンが輸入することになりました。
のは、適正な薬価を決めて、
す。というのは、新たに参入する企業にとって、
むことはリスクを伴うことだからです。
トをすることが、何より重要になります。
その後は、代替品の承認を急ピッチで進めることになります。
や医療機器の承認には、
られています。しかし、今回のような緊急時には、
認』という項目を適用することで、
第一に優先すべきは、
8、医療者と患者が治療に専念できる環境を提供するために
医療の危機対策は、
いかに一人ひとりの医療者がいい治療をしたいと思っていても、
ていなければ十分な治療を行うことはできません。
明らかになったのは、
性です。そのためにも、命に直接関わる医療という分野は、
の撤退などに影響を受けてしまう貧弱な構造であってはなりません
に挙げた危機対策法案は現状の改善のために必要だと考えています
9、学生の立場として
大学で共に臨床実習を行っている友人と話して感じることは、
ことが難しくなっている現在の医療現場に対して、
ている学生が多いという点です。実際、
のコンサルタント会社や製薬会社、
感じます。ですが、
ありません。学生の場合は、時間も十分にあるのだから、
の姿を心に描いて、
意味で、今回、問題の解決に向けた草の根の活動に関われたのは、
たいか、
り、非常に幸運だったと思っています。とにかく、
ことです。
今、
バンク推進連絡協議会の大谷貴子会長もその一人です。
根の活動の中心となり、問題解決のための6.
りました。暗いニュースも多い医療界ですが、
広がっているのです。
最後になりましたが、
生方に対して、深くお礼を申し上げたいと思います。
この原稿の作成が叶わなかったのは言うまでもありません。
した。
医療ガバナンス学会 (2009年3月5日 14:30)
「2度と起きないように」
舛添大臣は、危機管理と情報公開を私たちに約束した
NPO法人全国骨髄バンク推進連絡協議会
会長 大谷貴子
医療ガバナンス学会 (2009年3月5日 09:14)
医師と医療を巡る都市伝説のいくつかを、
検証して行こうという連載の2回目です。引き続き、
今回は「研修医は都会の病院に集中した」、
医が都会の病院に集中したというウワサを検討します。
このウワサにはたいてい続きがあります。
修病院を選択したため、大学病院が医師不足となり、
き上げ、それによって地域医療の崩壊が引き起こされた、
ところで、日本の郡部(町村)
平成17年(2005年10月1日付)の国勢調査では、
ついてみると,合併,編入等により平成12年時点の2,
と1,092の減少となった。」と指摘されています。
平成17年国勢調査 全国・都道府県・市区町村別人口 (要計表による人口)結果
の概要
III 市町村の人口
http://www.stat.go.jp/data/
(総務省 統計局)
当然のことながら、これによって郡部人口は激減し、
人から平成17年には1750,
た。
居ながらにして町村から市へと統計上の居を移す結果となりました
総人口に占める割合も21.3%から13.7%
はそれだけ割合を高めたということになります。
では、年齢別に医師の働いている病院(従業地)
るのかを見てみます。
検討に当たっては、前回同様、隔年(2年に一度)
名の下に行われている医師調査の、
します。
図4では、
を郡部についてだけ切り分けています。
29歳以下層だけでも、2,862人から1,
18,166人から10,694人へとおよそ4割の減少です。
言うまでもなく、このうち大半の約35%
計上の居を移した医師達で、
程度です。
また、臨床研修の期間は2年間です。従って、
であれば、
本来であれば、卒後2年間の医師の同定が必要です。
郡部医師数の減少の大半は見た目だけのものであること、
に亘るものであって、
うことであろうと思います。
さて、ここまでで申し上げられることは、決して郡部(町村)
と撤退したということはないということになろうかと思います。
次は、東京23区、政令指定都市(
(同じく30万人以上)について、その医師数を見てみましょう。
その前に、これら都市部の人口がどう推移してきたのか、
があるように思います。
この10年間で政令市は12から15へ、中核市は(
15から36へ(平成18年末当時:現在はさらに増えて39)
おり、人口も増加しています。
推計したところ、政令市と東京23区を合わせた人口は27,
31,518,888人へと、中核市の人口は7,336,
これら総和で34,525,118人から48,281,
%増えています。(
東京23区と政令指定都市の病院従事医師数の推移です。
実は男性の39歳以下層では、平成8年が最も多く、
年で底を打ち、平成16年、
とが見て取れます。
しかしこの間もこれら大都市の人口は増え続けており、
集中したというようなことは言えないのではないでしょうか。
これに比べると、むしろ45歳から59歳以下層で、
す。
女性はほぼ全年齢層で増えています。
その女性が中核市とその他の市でどう増減してきたのかを見てみま
実は女性医師が全体として増えている結果、
り女性の病院従事医師数はほぼ一貫して増え続けています。
男性39歳以下層の病院従事医師数は、
けたものの平成16年で下げ止まり、
ています。
中核市では全年齢層に亘って、
います。
では人口当たりでみるとどうなるでしょうか。
病院従事の各5歳階級の総医師数を人口10万人当たりとして年次
しています。
やはり39歳以下層では、
しろ、ほぼ一貫して人口当たり医師数は減少しており、
えているということが言えるでしょう。
…あるいは可能性として考えられることとしては、
に中核市となり、
かも知れません。
しかし、これに比較して、45歳?
います。
(と言うか、自分もその年代層ですが)こそ、
べきでしょう。
では、なぜ研修医や後期研修医は、
われのない批判を受けているのでしょうか?
実は、
拘わらず、都市部の病院従事医師数は全体として純増しています。
ということで、次回は「
た」という都市(地域?)伝説を検証いたします。
なお、今回の都市人口の推計に当たっては、
にお手伝いを頂戴しました。深く感謝いたします。もちろん、
等があれば、それは最終確認に当たった自分の責任です。